【side 玲美】
バイクを降り、冷たい風を切ってホストクラブの重厚な扉を開ける。
店内を支配するのは、甘ったるい香水と、鼻を突き刺すようなタバコの煙。私は反射的に息を止め、眉をひそめた。この匂いだけは、いつまで経っても好きにはなれない。肋骨の痛みは引いたけれど、腹部にはまだ、青黒いあざ残っていて、時折疼くような鈍痛が神経を支配する。
「いらっしゃいませー! うわ、めちゃくちゃ綺麗な子だな! こっち来なよ!」
私が一歩足を踏み入れるや否や、派手なスーツのホストたちが飢えた獣のような目で私に群がってきた。彼らの馴れ馴れしい手が私の肩に伸びる。
その瞬間、殺気で空気が変わったのが自分でも分かった。
「……触るな」
隣に立つ晴樹が淡々と、しかし氷のような響きで言い放った。
晴樹は、一瞬でホストのリーダー格の腕をねじり上げる。その気迫に、周囲のホストや客が凍りついた。晴樹はマスクの上から、獲物を狙う猛禽類のような鋭い視線を投げかける。
「遊びに来たんじゃねぇ。小鳥遊からの『届け物』だ」
その名前を出した途端、ホストたちの表情から余裕が消え失せた。顔色を真っ青にし、彼らは一斉に後ずさりする。
「……小鳥遊組、ですか」
「あぁ。店長を呼べ。裏で話をつける」
店長が出てくれば、あとは事務的な作業だ。クスリを渡し、その対価を回収する。彼らは恐怖で震えながら、まるで教祖に跪く信者のように、言われるがまま金を用意する。私はただ、その様子を冷ややかに見つめるだけだった。
バイクを降り、冷たい風を切ってホストクラブの重厚な扉を開ける。
店内を支配するのは、甘ったるい香水と、鼻を突き刺すようなタバコの煙。私は反射的に息を止め、眉をひそめた。この匂いだけは、いつまで経っても好きにはなれない。肋骨の痛みは引いたけれど、腹部にはまだ、青黒いあざ残っていて、時折疼くような鈍痛が神経を支配する。
「いらっしゃいませー! うわ、めちゃくちゃ綺麗な子だな! こっち来なよ!」
私が一歩足を踏み入れるや否や、派手なスーツのホストたちが飢えた獣のような目で私に群がってきた。彼らの馴れ馴れしい手が私の肩に伸びる。
その瞬間、殺気で空気が変わったのが自分でも分かった。
「……触るな」
隣に立つ晴樹が淡々と、しかし氷のような響きで言い放った。
晴樹は、一瞬でホストのリーダー格の腕をねじり上げる。その気迫に、周囲のホストや客が凍りついた。晴樹はマスクの上から、獲物を狙う猛禽類のような鋭い視線を投げかける。
「遊びに来たんじゃねぇ。小鳥遊からの『届け物』だ」
その名前を出した途端、ホストたちの表情から余裕が消え失せた。顔色を真っ青にし、彼らは一斉に後ずさりする。
「……小鳥遊組、ですか」
「あぁ。店長を呼べ。裏で話をつける」
店長が出てくれば、あとは事務的な作業だ。クスリを渡し、その対価を回収する。彼らは恐怖で震えながら、まるで教祖に跪く信者のように、言われるがまま金を用意する。私はただ、その様子を冷ややかに見つめるだけだった。

