檻の外へー極道なんて、大嫌いー

「……玲美。お前が強いのは知ってる。俺よりも人を殺す技術だって上かもしれない。でもな、お前が『自分で守れる』と思って耐えてきた結果が、あの傷だらけの腹だったんだろ」
彼女の表情が微かに強張る。
「飛龍を利用するのは、お前を守るためだけじゃない。……お前に『居場所』を作ってやりたいんだよ、組以外の場所にな」
俺はそこまで言って、少しだけ言葉を切った。
「お前が自分で守れるのは知ってる。だからこそ、お前が自分の力を使って……『自分を傷つける必要がない世界』を作る手伝いをさせてくれ。俺は、お前の監視役兼、一番近くにいる用心棒なんだから」
そう言いながら、俺はポケットからマンションの鍵を取り出した。
自分のことくらい守れる――そう強がる彼女の横顔に、俺は痛いほどの愛しさと、それを守り抜かなければならないという責任感を感じていた。
「さっさと入るぞ。今日の仕事、終わらせないとまた若に何か言われる」
俺は彼女の背中を促すように、マンションのエントランスへと一歩踏み出した。玲美は何も言い返さず、小さく溜息をついて俺の後ろを歩き出した。
その背中は、ほんの少しだけ、俺の言葉を受け入れたかのように柔らかく見えた。