檻の外へー極道なんて、大嫌いー

「おっ、こいつが噂の転校生か? 昼間の白虎戦、見たぜ。いい面構えだ」
杉中がニカっと笑い、俺の肩を叩く。九条は静かに眼鏡のブリッジを押し上げると、俺の履歴と、恐らく組のことは伏せた素性を確認するように眺めた。
「飛龍の戦力は質がすべてだ。剛田たちが認めるなら文句はないが……どうだ、お前、このまま俺たちの幹部にならないか? お前の頭のキレと腕っぷしがあれば、この街を制するのは時間の問題だ」
九条の勧誘に、俺は少しだけ考えた。
幹部になれば、飛龍の運営の核心に触れられる。つまり、より正確な情報を手に入れ、玲美の青春を守るための「網」を強固にできるということだ。
「……いいぜ。幹部、やってやるよ」
俺が即答すると、幹部たちは「決まりだな!」と大笑いし、剛田も満足げに頷いた。
「よし、今日からお前は飛龍の特務幹部だ。……で、玲美ちゃんだったな。姫のお前には、俺たちが責任を持ってこの街の平穏を保証してやるよ」
彼らがそう言って玲美の方を向くと、玲美はどこか遠い目をして「……はい、よろしくお願いします」と、極道の娘らしからぬ、どこかぎこちない挨拶を返した。
(これで、飛龍の中枢に食い込めた)
俺は幹部として紹介された席に深く腰を下ろした。
玲美を守るための「鎧」は手に入れた。あとは、この街の裏側で何が起きているのか、組の仕事とは別に、自分たちの手で情報を拾い集めるだけだ。
玲美は相変わらず不服そうだったが、俺はそんな彼女の隣で、幹部の一員として新しい煙草に火をつけた剛田の煙を浴びながら、ニヤリと笑った。