通話を切ると同時に、少し離れた席でふざけ合っていた晴樹とバチリと目が合った。
私の顔色と、纏う空気の変化だけで、彼も全てを悟ったのだろう。晴樹は無言で頷き、自分のスクールバッグを掴んで立ち上がった。
「先生! すいません、うちの親族に不幸があって、俺と玲美、今すぐ帰らなきゃいけないんスわ!」
晴樹が教室の前方にいる担任に向かって、適当極まりない言い訳を大声で放つ。
「えっ、ちょっと東條!? ホームルームが……」と制止する担任の声を完全に無視し、私たちはクラスメイトたちの呆気にとられた視線を背に受けながら、教室を飛び出した。
*****
マンションの部屋に飛び込むなり、私たちは無言で制服を脱ぎ捨てた。
「敵は御影組。料亭の会合が襲われたらしい。こっちが劣勢で、大樹の兄貴から大至急の応援要請」
「……チッ、あのクソ共、とうとう牙剥きやがったか」
短く状況を伝えると、晴樹はギリッと奥歯を噛み鳴らした。御影組といえば、最近小鳥遊のシマでコソコソと嗅ぎ回っていた厄介な武闘派組織だ。
クローゼットの奥から、分厚いケブラー素材の防弾ジャケットを引きずり出す。
ワイシャツの上からそれをきつく身につけ、さらにその上から、会合の場に踏み込んでも無礼のないよう、黒の細身のスーツを羽織った。
私の顔色と、纏う空気の変化だけで、彼も全てを悟ったのだろう。晴樹は無言で頷き、自分のスクールバッグを掴んで立ち上がった。
「先生! すいません、うちの親族に不幸があって、俺と玲美、今すぐ帰らなきゃいけないんスわ!」
晴樹が教室の前方にいる担任に向かって、適当極まりない言い訳を大声で放つ。
「えっ、ちょっと東條!? ホームルームが……」と制止する担任の声を完全に無視し、私たちはクラスメイトたちの呆気にとられた視線を背に受けながら、教室を飛び出した。
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マンションの部屋に飛び込むなり、私たちは無言で制服を脱ぎ捨てた。
「敵は御影組。料亭の会合が襲われたらしい。こっちが劣勢で、大樹の兄貴から大至急の応援要請」
「……チッ、あのクソ共、とうとう牙剥きやがったか」
短く状況を伝えると、晴樹はギリッと奥歯を噛み鳴らした。御影組といえば、最近小鳥遊のシマでコソコソと嗅ぎ回っていた厄介な武闘派組織だ。
クローゼットの奥から、分厚いケブラー素材の防弾ジャケットを引きずり出す。
ワイシャツの上からそれをきつく身につけ、さらにその上から、会合の場に踏み込んでも無礼のないよう、黒の細身のスーツを羽織った。

