檻の外へー極道なんて、大嫌いー

「……玲美?」
ふと、隣に座っていた晴樹が、私の止まったままの手元を覗き込んできた。
彼は原稿用紙のテーマを見て、一瞬ハッと息を呑んだ後、すぐに自分のノートで隠すように私の手元を覆い隠してくれた。
「……玲美。焦らなくていい。今日はもう、ここまでにしとこうぜ」
晴樹の声は、周りで騒ぐ剛田たちには聞こえないほど、小さかったが、どこまでも優しかった。
「……うん」
私はシャープペンシルを置き、無理やり微笑みを作った。
この温かくて眩しい陽だまりの中で、私だけが、どこにも行けない見えない鎖に繋がれている。真っ白な原稿用紙は、私の人生には決して訪れない『光の当たる明日』を、残酷なほど明確に突きつけていた。