しかし、そんな楽しい時間は、飛龍の頭脳担当である九条先輩の一声によって強制終了させられた。
「はい、ゲームはそこまで。お前ら、夏休みの課題はどうなってんだ。このままだと新学期早々、補習で誰も集会に出られなくなるぞ」
九条先輩が冷酷な手つきでテレビの電源を落とすと、剛田や誠先輩たちから「うげぇっ」という悲鳴が上がった。
「九条ぉ〜、後でやるからさぁ……」と泣きつく剛田を完全に無視し、九条先輩はテーブルの上のスナック菓子を片付け、全員に教科書とノートを広げさせた。
「晴樹と玲美もだ。持ってきたんだろ?」
「おう、九条先生に教えてもらおうと思ってな!」
晴樹もカバンからドサドサと問題集を取り出す。
こうして、暴走族の幹部たちが、狭いテーブルに身を寄せ合ってブツブツと数学の公式を暗唱するという、なんともシュールで温かい勉強会が始まった。
「……えっと、ここの因数分解は……」
「そう、そこは公式に当てはめるだけ。玲美はやっぱり飲み込みが早いな。それに比べて、おい総長。なんだこの英単語のスペルは」
九条の的確な指導のおかげで、面倒な数式や英語のプリントは思いのほかスムーズに片付いていった。
「終わったー!」と零が背伸びをした頃、私は最後に残っていた国語の課題である、真っ白な原稿用紙の束を取り出した。

