檻の外へー極道なんて、大嫌いー

「そんなことない」
玲美は、俺の言葉を冷たく、そしてどこか怯えたように遮った。彼女は自分の両腕を抱きしめ、視線を落とす。
「魁は、若頭として、義理の妹で組員でもある私から目を逸らせないだけでしょ。私がヘマをして問題を起こせば、若頭である彼の責任にもなるから。……監視されてるだけよ」
「はぁ……?」
俺は思わず、間の抜けた声を出してしまった。
監視? 責任?
あのバカみたいに過保護な若の行動が、玲美にはそんな風に見えていたのか?
自分の仕事を大樹の兄貴に丸投げしてまで、何日も寝ずにお前の看病をしてたあの男が、「責任感」だけで動いているように見えるのか。
俺は、自分のおぞましい勘違い(玲美も極道を楽しんでいると思っていたこと)を棚に上げ、今度は玲美のあまりの鈍感さと、根底にある『恐怖』の深さに呆れ果ててしまった。
「なぁ、お前……どうしてそんなに若を怖がるんだよ?」
俺は少し前のめりになって、ソファに沈み込む玲美の目を真っ直ぐに見つめた。