檻の外へー極道なんて、大嫌いー

邪魔な半グレを潰し、シマを守る。
そのたびに親父や兄貴たちから一人前として認められ、組のために働けているという強烈な『達成感』があった。何より、あの無敵の死神である若の背中に、少しずつ自分が近づけている気がして、たまらない高揚感を感じていたのだ。
ぶっちゃけた話、単純に喧嘩で暴れ回るのも、射撃訓練で的に弾丸をぶち込むのも、俺にとってはアドレナリンが出る『楽しい』ことだった。
仕事でしくじれば罰があるし、俺たちが高校に通わない前提で詰め込まれたスケジュールのせいで、睡眠もまともに取れない。
それでも、隣で完璧に立ち回り、背中を預けてくれる玲美も、心の底では俺と同じようにこの世界での生き方を受け入れ、少なからず『楽しんでいる』のだと、勝手に思い込んでいた。
(……でも)
俺は、包帯だらけの痛々しい姿でソファに沈み込む彼女を見つめながら、過去の記憶を必死に遡った。
そして、自分がどれほど彼女の本当の心から目を背けていたのかを、唐突に突きつけられた。
――そうだ。振り返ってみれば、玲美の心は、この血なまぐさい極道の世界で生きていくには、あまりにも優しすぎたのだ。
例えば、射撃。
玲美の銃の腕は、間違いなく組の中でもトップクラスだ。大樹の兄貴すら舌を巻くほどの天才的なセンスを持っている。