檻の外へー極道なんて、大嫌いー

やがて、晴樹も私がこれ以上語らないことを察したのか、大きくため息をついて隣にドサリと座り込んだ。
「……無事で、よかった」
その声は微かに震えていて、彼がこの数日間、どれほどの恐怖と無力感と戦っていたかが痛いほど伝わってきた。
マンションの静かな部屋。隣には、私の帰りを心底心配してくれていた幼馴染の温かい体温がある。
あの漆黒の地下室での激痛と孤独が、嘘のように遠ざかっていくのを感じた。それと同時に、今まで必死に張り詰めていた心の糸が、プツンと音を立てて切れてしまった。
「……晴樹」
「ん?」
「私……」
極道の娘として生まれ、感情を殺して生きてきた。どんな汚れ仕事も、理不尽な暴力に耐えることも、これが自分の運命なのだと諦めていた。でも、あの女を見た時、そして暗闇の地下室で一人震えていた時、自分の心の奥底にある本当の気持ちに気づいてしまったのだ。
「……もう、組の仕事は、嫌だ……」
震える声で、ぽつりと零れ落ちた言葉。
それは、私が生まれてからずっと心の奥底に封じ込めてきた、嘘偽りのない初めての『弱音』だった。