檻の外へー極道なんて、大嫌いー

【side 玲美】

大樹の兄貴が運転する黒塗りの車が、マンションのエントランスに滑り込む。
車が停まるか停まらないかのうちに、エントランスの自動ドアから血相を変えた晴樹が飛び出してきた。どうやら、大樹の兄貴が事前に到着の連絡を入れてくれていたらしい。
「玲美ッ!!」
ドアが開くやいなや、晴樹が顔を真っ青にして車内を覗き込んできた。
「大丈夫……生きてるから」
私は痛む体をごまかすように笑ってみせたが、私の包帯だらけの痛々しい姿を見た晴樹の目は、今にも泣き出しそうなほどに揺れていた。
「……1人で歩けるから」
私はそう言って車を降り、エントランスの壁に手をついて歩き出そうとした。だが、次の一歩を踏み出そうとした瞬間、体がふわりと宙に浮いた。
「っ、ちょっと晴樹……!?」
「歩けるわけねぇだろ、バカ! 大人しくしてろ!」
晴樹は壁に手をつく私を、躊躇いもなく軽々とお姫様抱っこで抱き上げた。
後部座席から降りてきた魁が「おい晴樹、落としたら殺すぞ」と低い声で凄んだが、晴樹は「落とすわけねぇッス!」と怒鳴り返し、私をしっかりと胸に抱いたまま、足早にエレベーターへと向かった。