「ふざけるな! その体で単車に乗れるわけがねぇだろうが!」
「乗れる。晴樹が心配してるから、早く帰らなきゃ……」
「寝てろと言ってるんだ!!」
俺は、自分の胃がキリキリと鋭く痛み出すのを感じた。
過保護すぎる兄と、本気で兄を怖がっている頑固すぎる妹の押し問答。放っておけば永遠に平行線を辿り、最悪の場合、お嬢が窓から飛び降りてでも帰りかねない。
「……若、お嬢。どうか落ち着いてください」
俺は間に割って入り、これ以上ないほど深いため息をついた。
「お嬢、そのお体で単車は絶対に不可能です。どうか諦めてください。ですが、若。お嬢がこれ以上本邸に長居すれば、いずれ組長の耳に入り、さらなる面倒を引き起こします。……俺が車を出します。若と俺で、お嬢をマンションまで送り届けましょう。それならよろしいですね?」
俺の折衷案に、二人は渋々といった様子で頷いた。
『死神』と呼ばれる若頭と、組の若い衆から大人気の『小鳥遊のお嬢』を相手に、俺の胃薬の消費量は今日もまた順調に更新されそうだった。
「乗れる。晴樹が心配してるから、早く帰らなきゃ……」
「寝てろと言ってるんだ!!」
俺は、自分の胃がキリキリと鋭く痛み出すのを感じた。
過保護すぎる兄と、本気で兄を怖がっている頑固すぎる妹の押し問答。放っておけば永遠に平行線を辿り、最悪の場合、お嬢が窓から飛び降りてでも帰りかねない。
「……若、お嬢。どうか落ち着いてください」
俺は間に割って入り、これ以上ないほど深いため息をついた。
「お嬢、そのお体で単車は絶対に不可能です。どうか諦めてください。ですが、若。お嬢がこれ以上本邸に長居すれば、いずれ組長の耳に入り、さらなる面倒を引き起こします。……俺が車を出します。若と俺で、お嬢をマンションまで送り届けましょう。それならよろしいですね?」
俺の折衷案に、二人は渋々といった様子で頷いた。
『死神』と呼ばれる若頭と、組の若い衆から大人気の『小鳥遊のお嬢』を相手に、俺の胃薬の消費量は今日もまた順調に更新されそうだった。

