檻の外へー極道なんて、大嫌いー

あの罪のないボロボロの女が受けていた地獄に比べれば、この程度の物理的な痛みなんて耐えられる……はず。
私が彼女を逃がしたのだ。
これは私が選んだ代償。
どれだけ殴られ、蹴られたのか分からない。
やがて痛みの許容量を超えた脳が強制的にシャットダウンを命じ、私の意識は深い暗闇の中へと沈んでいった。


*****


……ピチョン。
どこからか滴る水滴の音で、私はゆっくりと意識を取り戻した。
目を開けても、視界を埋め尽くすのは闇だった。冷たくて硬いコンクリートの床。鼻を突くカビと埃、そして自分の血の匂い。
「……っ、あ……」
身じろぎした瞬間、全身を刃物で切り裂かれるような激痛が走り、私は思わず声を漏らした。
肋骨は確実に何本か折れている。顔も腫れ上がり、指先一つ動かすのにも信じられないほどの体力を消耗した。
(地下の、懲罰房……)
ここは本邸の地下にある、光一つ差し込まない窓なしの監禁室だ。
この部屋に入れられたということは、制裁はあの暴行だけでは終わらないということ。
おそらく、最低でも三日間は水も食事も与えられず、この暗闇の中に放置される。
ここまでの折檻をされたのは久しぶり。
頭の機嫌が悪かったのか、それとも、簡単な仕事でしくじった私に、大層腹を立てたのか。
私は冷たい床に丸くうずくまり、浅い呼吸を繰り返した。