檻の外へー極道なんて、大嫌いー


本邸の広間。
上座に座る頭と、その両脇に控える幹部たちの威圧感が、部屋の空気を重く押し潰していた。
「……見つけられませんでした」
私は土下座の姿勢のまま、感情を完全に殺した声で短く告げた。
言い訳は一切しない。それがこの世界での唯一の作法だ。
「……そうか」
父である頭の声は、氷のように冷たく、そこに娘への情など一ミリも存在しなかった。彼にとって私は『実の娘』ではなく、単なる『手駒の一つ』に過ぎない。
「小鳥遊の掟は分かっているな、麗美。」
ゴッ……!!
最初に飛んできた革靴の蹴りが、私の腹を容赦なく抉った。
息が詰まり、くの字に倒れ込んだ背中に、今度は木刀の容赦ない打撃が叩き込まれる。
「ぐっ……、あっ……!」
一切の手加減はない。裏社会の掟を破った者への、見せしめとしての凄惨な制裁。
頭を蹴り上げられ、視界がチカチカと明滅する。口内に血の味が広がり、全身の骨が軋むような激痛が絶え間なく襲いかかってきた。
(……声を、出しちゃダメだ……)
私は自分の唇を強く噛み破り、呻き声を必死に喉の奥に押し留めた。