俺は息を詰まらせたまま、指先ひとつ動かすことができなかった。あまりの凄惨さに、頭の中が真っ白になっていた。
「……おい。どうした」
痺れを切らした若が、不機嫌そうな低い声を落として俺の背後に立った。そのまま、俺の肩越しに玲美のめくられた服の下――無惨に腫れ上がった腹部を覗き込む。
「――っ」
若が、微かに息を呑む音が聞こえた。
裏社会で『死神』と恐れられ、どんな凄惨な拷問や死体を見ても眉一つ動かさないあの若が、絶句したのだ。
重苦しい沈黙が落ちる。
チッ、と、若がひどく苛立たしげに舌打ちをした。
カチッ。
ジッポライターの硬い音が部屋に響き、微かな煙草の匂いが漂ってくる。若は新しい煙草に火をつけると、大きく紫煙を吐き出した。そして、嵐の前の静けさのような、ひどく淡々とした声で俺に問いかけ始めた。
「こいつ、最近ちゃんと寝れてたのか?」
「……え?」
「学校での動きはぎこちなくなかったのか?」
「いや、それは……」
感情を完全に押し殺したような若の問いに、俺は言葉に詰まった。
若の視線は俺ではなく、ベッドで死んだように眠る玲美の細い体に注がれている。
「こんな細い腹して……。飯は食ってんのか?」
淡々とした声の奥底に、ギリギリで抑え込まれた怒りと、隠しきれない焦燥感が滲んでいた。
その問いかけ一つひとつが、刃物のように俺の胸に突き刺さる。
「……おい。どうした」
痺れを切らした若が、不機嫌そうな低い声を落として俺の背後に立った。そのまま、俺の肩越しに玲美のめくられた服の下――無惨に腫れ上がった腹部を覗き込む。
「――っ」
若が、微かに息を呑む音が聞こえた。
裏社会で『死神』と恐れられ、どんな凄惨な拷問や死体を見ても眉一つ動かさないあの若が、絶句したのだ。
重苦しい沈黙が落ちる。
チッ、と、若がひどく苛立たしげに舌打ちをした。
カチッ。
ジッポライターの硬い音が部屋に響き、微かな煙草の匂いが漂ってくる。若は新しい煙草に火をつけると、大きく紫煙を吐き出した。そして、嵐の前の静けさのような、ひどく淡々とした声で俺に問いかけ始めた。
「こいつ、最近ちゃんと寝れてたのか?」
「……え?」
「学校での動きはぎこちなくなかったのか?」
「いや、それは……」
感情を完全に押し殺したような若の問いに、俺は言葉に詰まった。
若の視線は俺ではなく、ベッドで死んだように眠る玲美の細い体に注がれている。
「こんな細い腹して……。飯は食ってんのか?」
淡々とした声の奥底に、ギリギリで抑え込まれた怒りと、隠しきれない焦燥感が滲んでいた。
その問いかけ一つひとつが、刃物のように俺の胸に突き刺さる。

