「お前らは今夜、港区のカジノの売上回収と、小さい方のアジト潰しだけだ。さっさと終わらせて寝ろ。……大樹、アレを置いたら帰るぞ」
魁がそっぽを向いたまま顎でしゃくると、大樹の兄貴がテーブルの上に、真っ白なケーキボックスをそっと置いた。
「帰りがけに、若が24時間営業のケーキ屋で買われたものです。お嬢と晴樹への、特訓の労いだそうだ」
「若が、ケーキ……?」
晴樹が信じられないものを見るように目を丸くしている。
魁は相変わらず不機嫌そうな顔を崩さないまま、私の顔をじっと見つめ、低く呟いた。
「……お前には、その肌のままが一番似合ってるからな。余計なモンは背負うな」
「え……?」
「行くぞ、大樹」
私がその言葉の真意を理解する前に、魁は踵を返し、足早に玄関へと向かってしまった。
バタン、と重いドアが閉まる音が響く。
取り残された私と晴樹は、顔を見合わせた。
テーブルの上の箱を開けると、そこには宝石のようにキラキラと輝く、最高級のイチゴのショートケーキが並んでいた。
(……『余計なモンは背負うな』って……)
もしかして、あの不機嫌な態度は、私が刺青を断ったことに対する拗ねと、同時に「それでいい」という彼なりの肯定だったのだろうか。
血の匂いを纏った『死神』が、わざわざ夜中にケーキ屋に立ち寄り、私の負担を減らすために裏で半グレを叩き潰している。
「……本当に、意味が分からない人」
私は小さく息を吐きながら、甘いショートケーキを一口頬張った。
口いっぱいに広がるその場違いな甘さが、極道の狂気の中で生きる私の心を、また少しだけ複雑に揺さぶっていた。
魁がそっぽを向いたまま顎でしゃくると、大樹の兄貴がテーブルの上に、真っ白なケーキボックスをそっと置いた。
「帰りがけに、若が24時間営業のケーキ屋で買われたものです。お嬢と晴樹への、特訓の労いだそうだ」
「若が、ケーキ……?」
晴樹が信じられないものを見るように目を丸くしている。
魁は相変わらず不機嫌そうな顔を崩さないまま、私の顔をじっと見つめ、低く呟いた。
「……お前には、その肌のままが一番似合ってるからな。余計なモンは背負うな」
「え……?」
「行くぞ、大樹」
私がその言葉の真意を理解する前に、魁は踵を返し、足早に玄関へと向かってしまった。
バタン、と重いドアが閉まる音が響く。
取り残された私と晴樹は、顔を見合わせた。
テーブルの上の箱を開けると、そこには宝石のようにキラキラと輝く、最高級のイチゴのショートケーキが並んでいた。
(……『余計なモンは背負うな』って……)
もしかして、あの不機嫌な態度は、私が刺青を断ったことに対する拗ねと、同時に「それでいい」という彼なりの肯定だったのだろうか。
血の匂いを纏った『死神』が、わざわざ夜中にケーキ屋に立ち寄り、私の負担を減らすために裏で半グレを叩き潰している。
「……本当に、意味が分からない人」
私は小さく息を吐きながら、甘いショートケーキを一口頬張った。
口いっぱいに広がるその場違いな甘さが、極道の狂気の中で生きる私の心を、また少しだけ複雑に揺さぶっていた。

