檻の外へー極道なんて、大嫌いー


私たちがそんなやり取りをしていると、不意に玄関のインターフォンが鳴った。
モニターに映っていたのは、いつも通り完璧にスーツを着こなした魁と、その後ろで紙袋を下げる大樹の兄貴だ。
「……開けるよ」
私が電子ロックを解除すると、二人は静かにリビングへと入ってきた。
魁は部屋に入るなり、ソファでうつ伏せになっている晴樹の背中の『龍』を一瞥し、ふんと短く鼻を鳴らした。そして、次に私の方へと視線を移す。
「……体調はどうだ、玲美」
「問題ないです。……特訓、ありがとうございました」
私が小さく頭を下げると、魁はなぜか少しだけ不機嫌そうに眉根を寄せ、チッと舌打ちをした。
(え……? 私、何か怒らせるようなことした……?)と内心焦っていると、後ろから大樹の兄貴が、やれやれといった様子で前に出てきた。
「お嬢。昨日の特訓明けで疲れているだろうが、今日のシノギの予定に変更があります。……予定していた『蛇蝎』のアジト制圧は、昨夜、若が単独で終わらせました。」
「「えっ……!?」」
私と晴樹は同時に声を上げた。
『蛇蝎』の制圧といえば、三十人規模の半グレを相手にする大掛かりな仕事だ。それを、若頭である魁自らが、わざわざ私達に代わって前倒しで片付けたというのか。