檻の外へー極道なんて、大嫌いー

【side 玲美】

本邸での地獄の五日間を終え、私と晴樹はようやくいつものマンションへと帰還していた。
「……ってぇ。マジで背中が熱持ってる……」
リビングのソファ。晴樹はTシャツを脱ぎ捨て、上裸でうつ伏せに寝転がってウンウンと唸っている。
彼の背中には、まだ彫ったばかりで赤く腫れ上がった『昇り龍』の刺青が、真新しいガーゼと保護フィルムの下から痛々しく透けて見えている。
「だから言ったじゃない。痛い思いしてまで、そんなもの入れるから」
私が呆れたようにため息をつきながら、冷蔵庫から冷えた缶ビールを投げてやると、晴樹は痛みに顔をしかめながらもニッと笑った。
「馬鹿言え。これは男の勲章だぞ。若の背中にある龍と対になるように、彫り師のオッサンに頼み込んでデザインしてもらったんだ。……俺はこれで、一生小鳥遊に、若とテメェに命を預けるって決めたんだよ」
「……バカじゃないの」
私は顔を背け、短く吐き捨てた。
彼のその真っ直ぐすぎる覚悟が、ただひどく悲しかった。晴樹は私を置いて、どんどん極道の深い闇へと潜っていく。背中に刻まれたその龍は、彼が二度とカタギの世界カタギの世界(光で溢れた場所)には戻れないという、残酷な証明だった。