檻の外へー極道なんて、大嫌いー

「やだ」
「そんなこと言わずに! 龍ですか? それとも蓮の花?」
「……しつこい。帰らせて」
私は睨みつけたが、彼らは「お嬢の照れ隠しだ」とでも思っているのか、一向に引かない。
晴樹までもが「俺とペアのデザインにしようぜ!」と私の腕を引く。
「……っ、分からず屋! 二度と言わないで!」
私は晴樹の手を振り払い、部屋の隅でふくれっ面をした。
彼らがどれだけ組に忠誠を誓い、刺青を誇りに思っていようと、私にとっては耐え難い侵食だ。私がどれほど嫌がっているのか、彼らは決して理解できないのだろう。
結局、私の頑なな拒絶に折れたのか、組員たちが溜息混じりに部屋から出ていった。
「……チッ、玲美の奴、本当に頑固だな。」
晴樹は毒づきながらも、どこか嬉しそうに彫り師の待つ部屋へと向かっていった。
龍の紋様を刻み込む晴樹の背中を想像すると、胸がひどく痛む。
彼は彼で、この狂った世界に心まで深く沈めていくつもりなのだ。私だけが、こんな風に必死で「自分」という枠にしがみついているような気がして、一人、静まり返った部屋で冷たい空気を吸い込んだ。