檻の外へー極道なんて、大嫌いー

『住む世界が違う』。
剛田はきっと、その言葉を「厳しい親がいるお嬢様」という意味で受け取ったはずだ。まさか『本物の極道』だなんて、想像もしていないだろう。
「……そっか」
剛田はハンドルを握る手にぐっと力を込め、俯いた。
その広い肩が少しだけ小さく見えて、胸が締め付けられる。ごめんなさい、ごめんなさいと、心の中で何度も謝った。
数秒の沈黙の後、剛田はバッと顔を上げ、いつものような豪快で、少しだけ無理をした笑顔を作ってみせた。
「……っはは! そっか、うん、分かった! ごめんな、困らせるようなこと言って! 忘れてくれ!」
「剛田くん……」
「でもよ! 彼女になれなくても、お前が飛龍の大切な『姫』だってことは変わらねぇからな! これからも、総長として俺がお前のことは絶対守ってやるから、安心して寄りかかってこい!」
強がって、私を気遣ってくれるその優しさが、どうしようもなく痛かった。
「……うん。ありがとう、総長」
私がそう答えると、剛田は照れ臭そうに鼻の頭を擦った。
「おーい! お前ら、何しんみりしてんだよ! トイレ休憩終わりだぞ!」