この数日間、鉄のサビのような血の匂いと、タバコと埃にまみれた裏街の空気しか吸っていなかった私たちにとって、それは信じられないほど優しくて、泣きたくなるような味だった。
「……美味いな、これ」
「うん。魁の趣味じゃないだろうけど」
並んでケーキを頬張りながら、私たちは久しぶりに、極道の仕事のことでも、誰かを傷つける算段でもない、ただの他愛のない話をした。
「……今夜、楽しみだね」
私がぽつりと呟くと、晴樹も口の端にクリームをつけたまま、ニッと少年のような無邪気な笑みを浮かべた。
「あぁ。海沿いのルートを飛龍の名前背負って走るの、最高に気持ちいいだろうぜ。……お前、単車の上で寝るなよ?」
「晴樹こそ。寝不足で海に突っ込まないでよ」
「誰が突っ込むか!」
そんな冗談を言い合いながら、私たちは笑った。
夜の帳が下りるまで、あと数時間。魁の不器用で過保護な差し入れを二人で分け合いながら、私たちは今夜の暴走に向け、ただ純粋な期待だけを胸に静かな午後を過ごしていた。
「……美味いな、これ」
「うん。魁の趣味じゃないだろうけど」
並んでケーキを頬張りながら、私たちは久しぶりに、極道の仕事のことでも、誰かを傷つける算段でもない、ただの他愛のない話をした。
「……今夜、楽しみだね」
私がぽつりと呟くと、晴樹も口の端にクリームをつけたまま、ニッと少年のような無邪気な笑みを浮かべた。
「あぁ。海沿いのルートを飛龍の名前背負って走るの、最高に気持ちいいだろうぜ。……お前、単車の上で寝るなよ?」
「晴樹こそ。寝不足で海に突っ込まないでよ」
「誰が突っ込むか!」
そんな冗談を言い合いながら、私たちは笑った。
夜の帳が下りるまで、あと数時間。魁の不器用で過保護な差し入れを二人で分け合いながら、私たちは今夜の暴走に向け、ただ純粋な期待だけを胸に静かな午後を過ごしていた。

