檻の外へー極道なんて、大嫌いー


晴樹と交代でシャワーを浴び、数日ぶりにお湯を張ったバスタブに浸かって、全身の筋肉の強張りをほぐす。
清潔なゆったりとしたスウェットに着替えてリビングに戻ると、晴樹はすでにソファに深々と沈み込み、天井を見つめて半分魂が抜けたような顔をしていた。
「お疲れ……」
私もその隣に、吸い寄せられるように崩れ落ちる。
ふかふかのクッションに身体が沈み込む感触が、たまらなく心地よかった。
「……マジで死ぬかと思ったわ」
「うん。でも、これで今夜は完全にフリー」
「おう。大樹の兄貴には、明日の朝『シノギは全部片付けました。』ってLINEするつもりだ。これで怪しまれねぇだろ。」
晴樹の言葉に、私はようやく心からの安堵の笑みをこぼした。
久しぶりに訪れた、時間に追われない、ただ息をするだけでいい穏やかな空間。ふと小腹が空いていることに気づき、私は重い腰を上げてキッチンへと向かった。
大型冷蔵庫の扉を開けると、ガラガラの庫内に、不自然なほど豪華な箱が鎮座している。
数日前に私がぶっ倒れた時、魁がわざわざ持ってきた有名ホテルの高級スイーツの詰め合わせだ。
「……これ、食べよう」
箱ごとリビングに持ち帰り、ローテーブルの上に広げる。
中には、宝石のように艶やかなチョコレートケーキや、色鮮やかなフルーツタルトが綺麗に並んでいた。
「うおっ! 若の差し入れか。すげぇ、これ一個数千円は下らねぇぞ……」
「食べるでしょ?」
「当たり前だ!」
私たちはソファに並んで座り、小さなフォークでその場違いな高級ケーキをつついた。
「……甘っ」
「うまっ……!」
口に入れた瞬間、上品で濃厚な甘さが、限界まで酷使した脳と身体の隅々にまでじんわりと染み渡っていく。