芳樹の携帯が鳴った。

「只今、電話にでられません。」と
電話に答えた。


うふふ…
私は、おかしくて笑った。


「そんなこと言うくらいなら
電話でなくていいのに。」


「あ、そっか~」



また、携帯が鳴った。


「めんどーもう出ない。
電源オフ~!!」


「いいの?」


「ぷーちゃんと二人っきりで
こんな大切な時間、邪魔されたくない。」


芳樹は私を後ろから包み込む。
それが、いやではないのは
どうしてなのだろう。


「ぷーちゃんの心が欲しい…
ぷーちゃんの心は誰を想ってる?」


私は動揺した。
「…別に誰も…」


「好きな女の心に誰かが住んでいる。
なんだろう?
姿見えない奴を憎んでしまう。
どこにぶつけたらいい?」


「私を好き?
それは気まぐれだよ。
めずらしい女だから、勘違いしてるのよ。」


芳樹が髪の毛にくちづけた。

「こんな気持ちはじめてなんだ。」


「じゃ、千鶴さんとしていることは?」


「きびしい質問だ。
カラオケでのキスは、ぷーちゃんに
やきもちをやかせるため…」


「私が休んだ時、
よりをもどしたんでしょう?
体の・・・・・」

芳樹は
私の前にきて、立ちすくんだ。


「それ?誰?千鶴が言ってたの?」


「そうしかないじゃん。」


「キスはしたけど
それはありえない…」


「嘘としても
千鶴さんが気の毒
同情するわ。
まだ、恋してるのよ
一方的にふられたんだから
簡単にあきらめられるのかしら。
冷たい男ね…
明日は、自分かと思うと
警戒するじゃない…」


芳樹が急に私を抱きしめた。