わかってても
理解してても、あきらめてても
千鶴を愛してるという素良に
やっぱり傷つく私は、
まだまだ強くなりきっていない。

千鶴の想いは芳樹にしかなくて
芳樹の気持ちは、新しいものの私に
向きつつある。

四角関係…
三角よりもっと複雑だ。


私は急にさびしくなった。

帰り道、スーパーで荷物を車に入れる手伝いをする
芳樹を見つけた。


  変わってるけど
  よく、働く奴…

しばらくその姿を見ていた。


ひとりのおばあちゃんが
道路の向こう側で立ち往生していた。
信号までいくには、スーパーを少し
こさなければいけないから
この車通りの激しい道をなんとか
渡ろうと試みている様子だった。


「おばあちゃん、そこあぶないから!!」

そう言って車の間をぬって
おばあちゃんのところに走っていった。


そしておばあちゃんをおぶって
信号機まで行って
店の前で降ろしてあげた。


  いいとこあるじゃん
  プチ感動~



携帯を見たら、もうすぐ芳樹のあがる時間だった。

私は、おかあさんに電話をして
図書館によってるから
少し遅くなることにした。

私の本好きは、昔から公認だったから



「おつかれっす」
元気に挨拶して芳樹が出てきた。


私はうつむき加減に歩く芳樹に
缶コーヒーを差し出した。


「おつかれ~」


芳樹が一瞬驚いて
満面の笑顔になった。


「マジー感動!!」

私を抱きしめた。


まっすぐな愛を感じるHugだった。


これが迷いのないHugなのかも知れない


芳樹の感動する様子が
ほほえましかった。


ここにも、わたししかしらない芳樹を見つけた。


素良と芳樹

きっと、この間で揺れ動くはずの自分


自分から、芳樹の手をとった。
カップルつなぎをして
一緒に歩いた。