冷たい素良の手にひかれて
保健室の前についた。


  ちくひょ~もうついたよ・・・

残念でならなかった。
素良は手を離し
保健室のドアをあけた。


「先生?」

姿がなかった。


お知らせボードに伝言が書いてあった。


  外出してます。
  20分くらいでもどります。
  急用は、職員室へ
  だだのさぼりは、教室にもどりなさい。


素良が笑った。
「保健の先生、うける~」

私も笑った。

「どうする?教室もどるか?」


「さぼりのようなものだから
戻ります。」


素良が
私の顔をじーっと見た。

「え?なに?」
私は舞い上がる。


いきなり私のほっぺたを
ムギュムギュとつまんだ。


「やわらけー
俺さ、実は、この感触大好きださ。
やわらかいものが
触りたくて仕方ないんだ。
やべーくせになる~」


わたしの顔は
もう噴火しかけていた。

「誰にもいうなよ。
大福の柔らかいの…
お前の、手もプクプクして
気持ちよかった。
大福みたいで~」

私はあっけにとられていた。


「いいか?
絶対誰にもいうなよ。
俺とおまえだけの秘密。
また、触らせてね。」


子供みたいに笑った。

  変わった子~


でも、意外な一面を見てしまった。
教室に戻る廊下を
また手をつないで歩いた。

ここに恋はないけれど
私はとっても幸せだった。

素良と秘密を共有・・・


ただたんに
大福フェチのような気もするけど

  いいや~

なんだか幸せな出来事だった。