「泣かないで…」


私は顔をそむけて泣いていた。


耳が熱く熱を持っていた。


「ごめん。」
そう言って、今噛んだ耳を唇で優しく愛撫した。


「こっちもごめん。」
さっき噛んだ、耳も同じように愛撫した。


幼稚園児じゃないけれど
優しい素良になったけれど
男を意識して
私は固くなった。


素良は私の額の前髪をかきあげた。

そして、額に優しくキスをした。
それから、涙を優しく拭いた。

「ごめん、マジに、ごめん・・・」


目に頬に鼻に顎に

優しく口づけをした。


そして短く唇に触れてから
優しいキスをした。

「あいつらのキスすごかったよな…」


そう言って、激しいキスをした。
頭の中でまた、ごーっと鳴っている。


  これは、私じゃなくて
  千鶴にしているキスなんだね



悲しくて、情けなかった。


このキスに私はいない…


情けなかった。