「いいじゃん、別に…
たまには、いい薬だから。
きっと来るけどな~。」


「帰るわ。」
慌てて立ちあがった。

「今なら、外で一緒だったって言えるし
家にいるのは、普通じゃないし…」


「普通じゃないだろ?
今さら、いいよ、あいつには~」

素良は、私の言葉を切り捨てた。


そして、私の上に覆いかぶさった。


「ちょっと…素良…」


「芳樹は、お前のこと好きなんだな。」
幼稚園児が
冷たいいつもの素良に豹変した。

「そんなことない。」

「お前さ、芳樹を本気にしたんだな~。」



冷たい素良に抱かれてみたいと
思っていた。
願望が・・・


でもこわい・・・
幼稚園児の素良なら
私からしかけられても
冷たい素良には、言葉さえ返せない。



反対側の耳たぶをおもいっきり噛んだ。


「キャー痛い!!」

あまりの痛さに悲鳴をあげた。


「血が出た。」


私は泣きだした。


「嘘だよ、ごめん。
痛かった?」


「痛いよ・・・怖い…素良…」


「ごめん、ぷくちゃん。」


「やだ、怖い…嫌いよ…」

恐怖感で一杯になった。