部屋の小窓から見えたのは
二人の激しいキスシーンだった。

暗い部屋に一瞬
明るい光が短い時間刺すと

二人が夢中で
キスしているのがわかった。


素良はしばらくその様子を見ていたが
いきなり私の目を隠した。

「見ない方がいい。」

「いや、もう見たんだけど
私はどうでもいいけど
そっちのほうが~」

隠されたまま
素良の目を手探りで隠した。



その時、素良の目が濡れているのがわかった。


「素良、かわいそう…」

「ぜんぜ~んだよ。」

「強がって…
だっこしてあげようか?」

ついつい、なんて言ってしまった言葉に
赤面した。


「ぷくちゃん…
だっこしてほしい…」


私は、素良を抱きしめた。


「ぷくちゃん、家に来る?」



  もちろん!もちろん!

口に出しそうな歓喜の言葉を
のみこんだ。


ちょっと悩むふりをして

「うん……。」

と小さくうなづいた。


心の中では
ファンファーレが鳴っていた。


  素良と一緒にいられる


芳樹と千鶴に感謝した。