気づかれてはいけない……

その気持ちが
今の私の気持ちのようで
ドキドキした。


素良は何事もないように
冷たい横顔で本をながめている。


私はもう
この本に何が書かれているのかも
理解できないのに
じーっと活字を見ている。


頬が赤くなるのがわかった。



「おいで……」

そう言って、素良は先に席を立った。


私は魔法がかかったように
後姿を見ながら
後をついて行った。



そして素良が立ちどまり
私の手をひいた。


素良の胸の中に包みこまれた。


「ちょっと……だめだから……」
そう言いながら、抵抗なんてできない

心はもっともっとと騒いでいる。



いつものように
フェチ抱きされて、

腰が砕けそうだった。


「どうして…?」



「ムカつく……俺のぷくちゃん……」


そう言って耳たぶにキスした。


あん……
思わず声が出て驚いた。


素良が耳たぶに歯をたてた。

「いたい!!!」


「ムカつく」
そう言って、素良は、さって行った。

耳たぶが痛かった。
真っ赤に熱を持った耳たぶを押さえて

私は涙がこぼれおちる。


痛み…
耳も心もとても痛かった。