家に着くころ
嘘をついていた後ろめたさが
襲ってきた。


「ただいま」


「おかえり~」

いつもの明るいおかあさんの声
  大丈夫、ばれてない

「遅かったな。」
おとうさんが言った。


「うん、本屋で立ち読みしてた。」

私は小さい頃から
本屋に一日中いられる特技がある。

手洗いとうがいをした。


「お風呂沸いているから
ご飯それからでもいいかな?」

「うん、先に入ってくる。」


少し後ろめたいから
時間をつぶそう




浴室で鏡の前に立った。


全身を見るのも
昔ほど嫌いじゃなくなった。

恋をしたせいか
自然にすっきりしていってるように
思えるし
何より自信が出てきた。


すこし太ってても
素良が喜ぶから
そんな自分も好きになった。


湯船につかりながら
今日一日を思い出す。

素良と過ごす時間が
私の女の部分を目覚めさせる


それから先のことは
未知の世界


私は素良と
未知の世界を知るのだろうか


あんなキスをしていたら
自分から言ってしまいそう


「素良ならいいよ」


そう呟いて
湯船に沈んだ。