「明日から、出張で3日くらい
留守するから、頼むな。」

親父が言った。

どうせ新しい女でもできたんだろう
今までは俺の母親と
病室で寝てたりしていたけど
母親のことを愛していたことは認めるけど
だからといって
親父のような男が
女なしでいられるわけない

俺も たぶん素良もそう思っている。


「素良、留学の用意できたのか?」

「ぼちぼち…」

「まあ若いうちしかできないことだから
おまえは頭のいい子だから
おまえのかあさんも英語がすごかった。
同時通訳もよく大学時代やってたくらいだから
おまえもかあさんの血をひいて
英語が堪能だからな~
頑張ってこいよ。」


親父は書斎に去って行った。


俺と素良の間には
テレビの音だけ



素良は親父が持ってきた
英語の新聞に目を通す


  嫌味なヤツ