玄関には緊張した面持ちの
素良が立っていた。


「ごめん、突然。」

「あ、いや…」
言葉がもつれた。
嬉しくて涙が出そうだった。

「時間がないから
会いに来るつもりなかったんだけど。」


「今日出発ね。」

「うん。」

「頑張ってね。」

「歩来もな。」

言葉が見つからない……

「じゃ、時間がないから
行くよ。」

そして紙袋を渡した。


「じゃ~今までありがとう。」


私はもっともっと言いたいことがあるのに
言葉がでてこない・・・・


素良は出ていった。

追いかけようと玄関に降りた時
紙袋がひっくりかえった。


その中にマフラーが入っていた。


マフラーが私の前を阻んだ・・・・




  『さよなら』





一枚のメモがハラハラ落ちた