「ごめん。素良……」

「いいんだ。
わかってるんだ。
ただ、
こんなに心が痛いなんて知らなかった。」


「素良には知られたくない部分だった。
いないって思ってたから~
ごめんなさい……」


「もういいよ。
戻って・・・・
俺さ、出かけるから気にしないで。」


私は洋服を握りしめた。


「バイバイ・・・
歩来・・・・
やっと踏ん切りがついた。
芳樹と幸せになれよ。」


そう言ってリビングのドアを閉めた。


体が震えた。


これで終わったんだ。
こんな終わり方でよかったのか?
知られたくないもう一人の私を
一番知られたくない人に見られてしまった。


トボトボと階段をあがって
芳樹の部屋に入った。


窓の外は真っ白だった。
芳樹が
「ホワイトクリスマスだろ?」
と言った。

「おいで。」

「芳樹、素良がいるの知ってたんでしょ?」

私は芳樹のそばにいった。

「もう俺だけの歩来だろ?」

私をあたたかいベットの中で
抱き込んだ。

「ひどい……」

「い~じゃん。
おまえは、俺があたためてやる。」


私はもう芳樹の腕の中しかなかった。

素良との心の別れが
思いがけない形でおとづれた。


冷えた心と体は
また芳樹によって熱くみなぎる。


   さよなら 素良
   本当に バイバイ