「自分で言ったのに誓いやぶって
Kissなんかして
ごめんなさい…ヒック…ヒック…」


嗚咽が止まらなかった。

素良が私の腰を引き寄せた。


「愛してる。歩来……」


最後のキスは涙の味がした。
お互いに感じ合う舌が

  離れたくない

そう言ってるようだった。


忘れたくない…
その感触を頭に残そうと
必死だった。




フェリーの汽笛に
私たちは静かに体を離した。



「さよなら、素良……」


「ばいばい」


「世界で一番愛してる。」


「俺は、宇宙で一番愛してるよ。
行って……つらくなるから……
マフラーありがとう。」


「うん。」


私は駅目指して歩き出した。


「歩来~!!」
振り向いた。

「雪の精みたいでキレイだから
今日の歩来を忘れない~!!!」

いつの間にか大粒の雪が舞い出した。

私はまた駅に向かって
芳樹のところに帰って行く・・・・


最後にもう一度振り向いた。
別れた場所に素良がしゃがみ込んでいた。
街路灯と雪明りが
素良を映し出していた。


  バイバイ
  大好きな人


  バイバイ
  私の初恋・・・・・


白い雪はきっと
素良から私を隠したんだろう