素良の心の中では
愛しい母の死は
父親のせいだという
空気をよんでいた


幼かった素良は
子供らしくない
どこか冷めて甘えることのしらない
人生を歩きだし


それから父親と心を
通わすことはなかった。


春江が職場の
薬剤師と結婚したと
陽介に連絡が来た。
子連れ結婚という形だった。


  なるべく家にいて
  芳樹と一緒にいてあげたい


でもその幸せも長くは続かなかった。
春江の心がすべて
手にできないイライラから
夫のDVが始まり
それは芳樹も巻き込んだ。

芳樹が命だった春江にとって

安住の地を求めたはずの
結婚が
芳樹を苦しめている


「おまえ、父親似か?
こんなツラしてるのか?」

春江に似ていない芳樹に
いまだに愛する女をしばりつける
男の影を感じ
暴力でイラつきをぶつけた。



ドロドロの話し合いの結果
離婚の道に進んだ。