春江にどうしても会いたい
そして、絶対に治樹に言わないで

何度も何度も頭をさげた。

陽介も治樹におしえるつもりは 
なかった。
事前に会いに行った
春江の願でもあったから…



雅恵は、どうしていきなり消えたのか
春江に直接聞きたい


これから
どうするのか・・・・


雅恵は、何度も陽介に頭を下げた。


陽介が立ち会うという約束で
春江のアパートに行った。



玄関を開けてしまったのは
まだ小さい芳樹だった。
恐ろしいくらい治樹に似ていた。
まるで、小さい治樹をに接するように
雅恵は、芳樹を
愛しげに抱きしめた。

母親が仕事からかえってこない
不安で芳樹は
半べそをかいていた。


帰り道
雅恵は言った。

「治樹みたいで愛おしかった。
治樹を抱きしめてるみたいで
なんでもしてあげたくなった。」

天使のようだった。

憎い子供のはずが
愛おしさで一杯になる・・・・


雅恵は心の底から
治樹を愛しているんだと
陽介は思った。