必死に春江を探しつづけた
治樹は疲れていた。


いきなり愛してる者たちが去ってしまった
絶望感と空しさだった。


どんな形でも夫が帰ってきた喜びがあった。
雅恵は、一生懸命尽くした。


治樹も
素良を抱いたりあやすようになっていた。


その姿を見て雅恵は
とても嬉しかった。


治樹も時がたつごとに
あきらめたように
家で生活するようになった。


心は手にはいらなかったけれど
素良に父親の存在を
教えてあげられると
幸せな気分だった。


形だけでもいい・・・・



そう思っていた。
そして、4年の月日がたち
雅恵の心の中から
春江と春江の息子の存在が薄れかけた頃



治樹があきらめきれずに
興信所を使って
陽介に春江の居場所を捜させてることを
知った。