今の状況を考えだした頃だった。

春江は妊娠した。
それを伝えると、治樹は子供のように
喜んで、まだぺたんこのお腹に
耳をあてて
語りだした。

「聞こえるか~
おとうさんだよ~
早く会いたいな~」

嬉しかった。


でも子供を産む気はなかった。
雅恵に対しての
罪悪感があるから


毎晩話し合った。

治樹は、絶対産めという。
雅恵とはいい機会だから別れる。

そう言った。


「こんな時だからガマンしなくっちゃね。」


ふっくらしたお腹に語りかける。
お腹の子供は成長していた。

治樹からは、雅恵が離婚を承諾したと
連絡がきていた。
そんなにうまくいくのか怖かった。


ある日地獄に落とされた。