そんな幸せも長くは続かなかった。
高2の秋
春江の父親が事業に失敗して
多額の借金を背負ってしまった。

借金とりが春江の家に出入りして
とうとう父親は
首を吊ってしまったのだった。


ひっそりと葬儀をすませて
春江は親戚の家に行くということで
しばらく学校を休んでいた。

不幸な出来事で
明るかった春江を思い
クラスメートや
部活仲間も心配していた。


夜、電話が鳴った。

治樹がめんどーそうに
電話をとった。


「もしもし……」

「……もしもし……
……ハル?」


「おう。どーしてる?
陽介呼んでくるか?」

「近くにいないの?」

「今、部屋かな~」

「……ハル…会いたいの……
この電話にハルが出たら
言うつもりだった。
陽介には言わないで……」


「……今どこ?」