治樹が家に消えて
しばらくして
家に入った。

玄関に女の靴はなかった。

手を洗い
冷蔵庫から麦茶を出して
一気飲みして

階段をあがって行くと
予想通り
刺激的な甘い声が聞こえてきた。


陽介は
自分が悪いことを
しているような気がした。


   俺は、決まった時間に
   帰ってきただけだ


部屋に入って慌てて服を着替えた。


その間中、ずっとその声は
止まらない。


   かあさんが仕事でいないと
   思って、勝手なことして

あまりのことに
陽介もイラついてきた。


勉強道具を持って
階段を音を立てて降りた。



さすがに声は聞こえなくなった。


   女いなくなるまで
   台所だな・・・・・


大事なテスト中だったから
陽介は、必死に頭の中を無にして
勉強に集中した。


その時、チャイムがなった。