「ヨウは、ずっとわたしの
そばにいてね。」

春江は頻繁に口にした。

「ハルのばか……」


春江は寂しそうだった。


治樹の反抗期で
家は混乱していた。
陽介は、毎晩遅くなってから帰ってくる
治樹と両親の怒鳴り声で
眠れなかった。



  いいかげんにしてほしい


母は泣きながら台所に座っていた。

陽介を見つけると

「ヨウは、ハルのようにならないでね・・・・」
そう言って
顔を覆った。




陽介は兄を嫌いになった。


「あいつは悪魔だ。」

そう思った。