「あいつ・・・
とうさんの息子だって・・・
母親が死んだから
とうさんと住みたいって言いやがった。」


  素良が知ってしまった

「クソ親父、デレデレして
『素良の隣の部屋あいてるから
そこをつかいなさい』って
いきなり父親面になって
あいつ、家に引っ越してきやがった。
『とうさん、とうさん』
甘えやがって、
クソ親父も、ニコニコしやがって
俺にだって
あんな顔したことないのに。
あいつと兄弟だって
俺になんの話もない。
ただ、下で親子芝居してるだけだ。」


  哀れな素良・・・・

あの父親は、いったい
どうなってるんだろう・・・・

説明もなく
素良が戸惑うにきまってる


「過去の話ひとつもないの?」

「ない。ただ、兄弟だ。だけ……」



「誰も信じられない・・・」


素良の不信感は体一杯
膨れ上がっていた。