その時だった。
私から体を離した芳樹は

はさみを取り出した。


「え?やだ、何するの?」

恐怖感に足が震えた。


「ごめん。歩来……
どうしたら、今の俺の気持ちを
信じてくれる?
死ぬ?
死んで見せたら
信じてくれる?」


「キャー!!!」


はさみを自分に向けた。


「そんなことしたらだめだって
ちょっと、怒るから!!
やめてよ!!」

私は大あわてになった。



そのはさみをふりかざして
そのまま
長く伸びた自慢の前髪を
思いっきり切った



ザクッ

乾いた音がして
前髪が床に落ちた