「今そばにいたって
先のことなんかわかんないよ。
それにそんな大事なことに
私を使われても困るわ。」

覆いかぶさった芳樹を見据えた。

「歩来は強いな。
絶対流されない、自分の意見に
忠実だよね。
そんなとこが眩しいんだ。」


「ずるいだけよ。
最近自分のずるさに嫌気がさす。
だから、芳樹の浮気に関しても
何にも言えない~」


「俺が、他の女と何してたのか
やきもちも焼かない?」


「私だって結局一緒じゃん。」


芳樹は首を激しく降った。

「あいつはいやだ。」

「私は、素良も愛してる。
同時に二人の人を好きになれるなんて
私ってずるいんだよ。」


「あいつは悪魔の息子で
俺も悪魔の息子
悪魔は同じ時期
同時に二人の女に種をぶちこんだ。」


「素良だって闇を持ってる。」

「おまえは、俺に抱かれた時
素良の名前を無意識に呼んだ。」



私は驚いた。

「俺はあの時、俺じゃなくて
素良だった。
おまえは、素良に抱かれようとしていたんだ。」


芳樹の顔が哀しみに歪む