「このまえのこと
俺がどうして、最初にならなかったんだって
考えていた。
千鶴とは違うんだ、自分でもよく
わからないんだ。
芳樹が現れて、俺はかなりペースを
崩された。
ちーの時には別に気にならなかったのに
おまえは許せない。」


「ね?ぷくちゃんじゃないの?」

「もうぷくちゃんじゃない…
芳樹が歩来って呼んだ時から
俺も、歩来って呼ぶから。」


「あいつが歩来に近づいてきて
俺は完璧乱れた。
何だろう、千鶴なら許せることも
歩来には許せない。
嫉妬なんてバカがすることだって
思ってたのに
しっかりと大バカになってる……
こんなこと初めてなんだ……」


「俺は、完璧に歩来を愛してる。」

「うそ……」

「だから、さっきも言ったろ?
これは絶対愛なんだ。」

「じゃ千鶴さんは?」

「憧れなのかな……」

「おまえも俺が好きだろう?」

「自信家ね。」

「芳樹と別れろ。」

素良が言うとは思ってなかった……

「私の気持ちに早く気付かなかったからよ。」  

「知ってたよ、ずっと……」


素良が抱き寄せた。


「意地悪だから、罰よ。」

素良の胸を押した。


「今は芳樹と別れられない。
芳樹にも言った。
素良を愛してるって……」


「それじゃ……」


「でも芳樹もほっとけないの。
……愛してるんだ、芳樹のことも……
素良も芳樹も失いたくない
素良と同じ…
千鶴も私も失いたくない…
ずるいでしょう……」

涙あふれ出した。