「素良は知らないんだ・・・・」


「私もよく状況がわからないから
素良にはいいません。」


「ありがとう。
いずれ話さないといけないんだ・・・」



「これからどうしたらいいんだ・・・」


素良の父親は
また泣きはじめた。



「芳樹はどうした?」

「兄貴には会いたくないって。」

「ははは・・・・
俺はだめな人間だな・・・・
誰一人、不幸にはするけど
幸せにはできない・・・・」



「おじょうさん、素良を頼むな………」


そしてまた
地を這う声で


「春江・・・
春江・・・・」

と泣きながら長い廊下に消えていった。