素良と千鶴は小学校からの同級生だった。
千鶴は、明るくて元気で
誰からも好かれていた。

素良はそんな千鶴にずっと片想いをしてきた。

千鶴が中学に入ってすぐに
芳樹に告白された。

「素良、隣のクラスの子にコクられた。
どうしたらいいと思う?」

「俺に聞かれたって…」
素良は、自分の気持ちを素直には言えなかった。
喉まで
「断れば…俺がいるじゃん」
そう言いたかったのに
素直になれなかった。


佐川 芳樹は、中学に入学したばかりなのに
大人っぽかった。
ちがう小学校から上がってきたせいか
新鮮なタイプで
千鶴とは、とても似合いだった。


積極的な芳樹に押されて
千鶴は
芳樹と付き合うことになった。


素直になれなかった自分を後悔したときには
もう手遅れだった。


千鶴は、どんどん素良から離れて行った。


女癖の悪い芳樹の浮気の度に
素良のところで泣いていた。

そして、芳樹が謝るたびに
戻って行った。


何度も何度も
その繰り返し


それでも別れられない千鶴が愛おしい
素良だった。