「芳樹はつらくないの?」

「つらいよ……」

「私は、芳樹とおんなじこと
好きな人にされてる。
でもその人は、私が好きなこと知らない……」

「そうかな。
そいつは知ってるよ。
歩来の目を見たら、どんなに強がってるのか
俺ならわかるよ。」

「え?うそ…
ばれないようにしてたのに……」

「バレバレだから~」
そう言いながら私から離れて
お皿をかたづけた。

「なんか、そうだったらバカだね。」
自分の今までがバカに思えてきた。

「わかったから、重くなったんだよ。」

「そうだわ。うん、わかってたんだ。」
涙が溢れた。

「ごめんね……芳樹の前で……
でもね…ずっとずっと気持かくしてるつもりで
耐えてきたの。
彼が他の人と想いが通じて
幸せそうな様子も表面では
よかったねって言ってあげたし
私…必死だったの。
自分の気持ち隠すの…
おもにになったら、嫌われるの
わかってたから……」


「そいつずるいヤツだな。」

「でも私もおんなじなんだ。
彼が好きなのに
芳樹も好き。
どっちも失いたくない。
彼が私を好きかどうかはわからないけど
もうめんどーになっちゃったんだ
きっと……」

「まだ、好きなの?」

「うん。好き。
初めて好きになった人なの。
そんな簡単には忘れられない。」


「俺のことは?って聞いていい?」