その時私は
芳樹を愛しいと思った。


「びっくりした…」

「だろ?」


「ありがとう、来てくれて。」

「うん。」

嬉しくて涙が出た

「なんかあったのか?」

「聞かないで。」

携帯を持つ手が震えた。


「ごめんね、ごめんね・・・・」

「どしたの?どうして泣く?」

「私がずるいから・・・
つらいことがあったらすぐ
芳樹を利用しようとしてる。」

「・・・・・そういうこと
言っちゃだめだよ。
嘘をつくのも優しさだっていたよな。」

「だって・・・」

「抱きしめてあげるから」


階段を静かに降りた

もう電気は消えていた。


玄関を静かに閉めて
芳樹の姿を捜した・・・・



「芳樹、どこにいるの?」


携帯の向こうで芳樹が笑った。


「後、後・・・・」

振り向いた。


芳樹が笑って立っていた。

私は、芳樹に向かって
走り出した。


そして
芳樹の胸に飛び込んだ。