泣いては、起きて
起きては、泣いた


何度かおかあさんが上がってきたけれど
布団から顔は出さなかった。


たぶんおかあさんも
何かあったのかとわかったと思う。

ごまかすことなんて
できなかった。


夜になって
やっと落ち着いたところに
携帯が鳴った。


  芳樹


「もしもし」

「よっ!!ぷーちゃん。」

「バイト、おつかれ!
おかあさん、あれからどうなの?」


「うん。落ち着いてるようだよ。」

「よかったね。」

「講習頑張ってるか?」

「うん。めんどーだよ。
もう、行きたくないもん。」

「よく、頑張るね~」

「芳樹もね~」


くだらない話をウダウダしながらでも
楽しかった。
芳樹と話ている間
悲しいことから逃げだせた。


「会いたいな・・・」

「え?」

「顔が見たいな。」 


「そのうち時間あえばいいね。」


「俺、今下にいるんだ。
窓から顔出して。」


私は飛び起きた。
そして窓の下を見た。



「こんばんわ、ぷーちゃん」
携帯を片手に芳樹が言った。