あの日を境に私と素良の距離が
縮まった。

学校では、いつものクールな素良は
変わることなく
存在感のない私も
それなりの生活を送っていた。

いつの間にか席も離れて
学校での接点は
なくなったけれど

人目を盗んで二人で一緒にいる
スリルに私は
ワクワクしていた。

高校生になって
初めてのアドレス登録は
素良だった。


携帯なんて使う日が来るのかと
思っていたけれど
こんなに素敵なモノだったとは
知らなかった。

学校で話せなくても
メールをしたり、電話をしたり
まるで恋人同士のような錯覚もしてしまう。


近づいた分
鋭い刃が突き刺さった。

素良が千鶴を愛していること…

勘付いてはいたけれど
素良を知るたびに
千鶴への想いの強さを知る


私は、幸せであり
不幸せでもあった。